COLD FISH “DOVE VA?”



COLD FISH “DOVE VA?”
【Pop / World】

イタリアのグラミー賞ともいえる年に1度の音楽の祭典「マテーラ音楽祭」で、昨年過去最多の6部門を受賞した “COLD FISH” は今やイタリアが誇るポピュラーバンドとなった。4人組のスタンダードなポップバンドで、労働階級の危機感が渦巻いていた70年代〜80年代後半のイタリ アンポップス初期衝動を大いに取り入れたサウンドが年配層に響いているのと同時に、現代のイタリア経済破綻への不安感を払拭するかのような軽快で陶酔できる楽曲群が若者にも受入れられているのである。
「DOVE VA?」は「どこに行く?」という意味だが、「どこに向かって生きていく?」的な意味も含まれており、彼らの切なる想いが耳に残るメロディと相俟ってなんだか切なくなる。フロントマン、ステファノの存在感は本作でも圧倒的に感じられ、今夏から始まるヨーロッパツアーにも期待大だ。

mooner “ASTRO KNOWS”



mooner “ASTRO KNOWS”
【Techno / Pop】

ベルリンに移住したイギリス人テクノポップDJムーナーから届いたピコピコサウンドの金字塔アルバム。重低音とチープチューンを合わせるアレンジをさせたら右に出るものはいない(らしい)DJクロマティ率いるドットムレーベルからの一枚。ムーナーいわく「ぼくはファミコン世代」ということで、クロマティとのコラボに意欲的に取り組み、現地音楽情報紙のインタビューでは「今回のアルバムには8bitを降臨させた」という神懸かった発言もしている。あれ?意外 とベタな感じ?と思いながら聴き流していると、徐々に宇宙へぶっ飛んでいくように奇天烈サウンドが全開となる。特に終盤はフロアを巻き込んで昇天必至。 ムーナーの移住は吉と出たようだ。

sandman “teuunten mark”



sandman “teuunten mark”
【Rock】

タイのインディーロックが面白い。これは近年、注目してきたこと。フジロックにも劣らない野外フェスがタイ国内で多数開催されていたり、ブルックリンやロ ンドンのインディペンデント系のミュージシャンがこぞってバンコクに移住していたりと、確実に面白いことになっている。そこには古めかしいタイポップスと輸入された欧米のインディーロックが融合して今までに味わったことのないようなサウンドが存在するのだ。
そして sandman という至極のバンドに辿り着いた。バンコクの芸術大学、シラパコーン大学の学生で、彼らが自主的に開いてた学内ライブから国内での人気に火がついた。叙情的なメロディに乗っかるボーカル・テオくんの切なカッコいい声、ドラミングセンスバツグンのチャイくんの前のめりのビート。今やバンコクのトレンドともなっているらしい。タイトル曲の「teuunten mark」は「ドキドキする」という意味で、恋愛に奥手なシャイボーイがこの世の終わりに歌うかのような心震えるラブソングである。

Tracey F. Mars "Postcards"



Tracey F. Mars "Postcards"
【POP】

アルコール依存症リハビリ施設に入所していたときのことについて後のインタビューで「家族から届く手紙に心救われたんだ」と語るトレイシー・マーズ。そんな彼の復帰作である。
得意のラブバラードを中心とした曲構成ながら、イーサン・ソネ監督のスペクタクル大作「コペルニクス作戦」の挿入歌やリアリティ番組「エミリーに恋して」のエンディング曲も織り込まれていてなかなか聴き応えあり。中でも先行リリースされた "from you" はビルボードチャート10位以内を6週もキープしており、全米が彼の完全復活を認めたようだ。


Connecticuton “MONSTER FOREST”



 Connecticuton “MONSTER FOREST”
【Punk】

コネチカットン。弾けた語感の彼らが放つ2枚目のミニアルバム"モンスター・フォレスト"。文字通り得体の知れない独特の世界へ連れて行ってくれる。
彼らのメランコリック・パンクは 抑制された社会にじわじわとボディブローをかますだけでなく、希望さえも導いてくれる。不安感に覆われている今のニッポンにも受入れられるべきニューヨーク・パンクのニューカ マーに注目だ。

DJ Goulet “Insomniac Girl”



DJ Goulet “Insomniac Girl”
【Electro Pop】

不眠症の彼女に宛てたラブレター的ミニアルバム。「眠れぬ彼女を横に僕は寝てしまう、ショック!」そんな文脈をかっこいいエレクトロポップへと昇華できるフレンチDJ界の貴公子、グーレ。安っぽいジャケットに侮るなかれ、おしゃれでポップなメロディに踊らされること間違いなし。その上最後は、安眠必至のア ルファ波ソングで締めくくられる辺りに彼の優しさを感じる。

LOXERS “Skeleton Shock”

 

LOXERS “Skeleton Shock”
【Rock】

UKインディーロックの番犬、ロキサーズ様5年ぶりのアルバム。
なかなか日本では爆発的な火はつかないが、本作では日本人ウケしそうな激しすぎないヴォーカルと繊細なギターチューンが満載。「メロディにこだわった」というヘンリーの発言に「今までこだわってなかったんかい!」と突っ込みたくもなったが、その儚いメロディに心を奪われたことは否定できない。聴くたびに印象の変わる楽曲群に病付きになること必至だ。


CHLOE WINSTON “LAND AND LAND”



 CHLOE WINSTON “LAND AND LAND”
【Pop / Fork】

カナダのティーンに絶大な人気を誇る青春ドラマ”ホープタウン”の挿入歌に起用されたことがきっかけで今やカナダ国内では知らない人はいないまでとなったクロエ。弱冠ハタチのブロンド美女だ。ギター片手にソングライティング、リリック、アートディレクションまで全て自身でこなす本作では彼女のただならぬ才能が感じられる。キュートでイノセントな声、オーガニックなサウンドの中にもアグレッシブさを忘れさせない空気感。フォークソングをティーン好みのポップスへと見事に昇華させている。
さらに新進気鋭ファッションデザイナー・ジェリック・マンソン氏がニューヨークファッションウィークでも"FAIL"を選曲するなどして、洗練された世界観が多方面から注目されている。
ちなみにジャケットはクロエ、5歳のとき。

AUSTRALIA “Young Man Needs Love”



AUSTRALIA “Young Man Needs Love”
【Rock / Electro】

シアトルの大学で動物学を学んでいる学生4人で結成されたバンド・オーストラリア。彼らの好きな動物がカンガルー、だからオーストラリア、というのがバンド 名の由来であるらしい。なんとも素朴なエピソードである。
エレクトロニカとストリートロックが融合されたサウンドで、耳障りの良いボーカル・マーティンの声が絶妙に滲んでいる。そんな彼らがシアトルっ子に大ウケなのは、ストレートで切ないラブソングを心の底から歌い、人気が出ても定期的に行う公園でのストリートライブのパフォーマンス力によるものであろう。彼らの音楽の半分は優しさでできている。

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